「六ツ美南部小学校の教育-H6地域素材の教材化-」より
昭和37年ごろまで,六ツ美南部ではどこの家でも井戸が使われていた。近くに矢作川などが流れており,豊富な地下水源に恵まれ,比較的容易に井戸を掘ることができた。使われる井戸の様式も「つるべ」から「手押しポンプ」,「手押しポンプ」から「モーターポンプ」へと移り変わってきた。六ッ美南部に「モーターポンプ」の井戸が普及してくると,後屋敷では「どうせ井戸の改善に金を使うなら,共同で井戸水をくみ上げ,水道で水を引いたらどうか」という話が持ち上がってきた。こうした生活改善への積極的な取り組みが昭和31年3月,後屋敷に簡易水道をひくきっかけとなった。その後,六ツ美南部には3つの簡易水道が布設された。
「簡易水道とは」
深くほった井戸から水をすい上げ,その水を利用してそれぞれの家に送って,使えるようにしたもの。水を出す装置は水道と同じで,蛇口をひねれば水が出る。簡易水道は,住民の希望者で組合を作り,維持管理は組合が行った。
| 地区 | 給水開始年月 | 簡易水道廃止年月 | 使用期間 | 給水人口 |
| 後屋敷 | 昭和31年3月 | 昭和41年12月 | 10年9ヶ月 | 165人 |
| 定国 | 昭和31年5月 | 昭和41年12月 | 10年7ヶ月 | 240人 |
| 中島 | 昭和32年3月 | 昭和41年12月 | 9年9ヶ月 | 2800人 |
井戸水の利点と欠点
(利点)
・夏は冷たく,冬は温かい水が手に入る。井戸水の水温は1年中はほとんど変わらない。
・水道料金がかからず経済的であるが,渇水の時には井戸が枯れることもある。
・災害時にも使用できる。
・矢作川の伏流水があるため,豊富な水源に恵まれている六ツ美南部では,地下水位が高いので井戸は浅く比較的楽に手に入れることができる。
(欠点)
・井戸水は消毒がしてないので,衛生的に問題がある。
・台所や風呂を使うとき,井戸水をくんだり,運んだりする労力が必要である。
・季節によって水量がことなるので,いつも十分に使うことができない。
・井戸水を出す機械(手押しポンプ,モーターポンプ)が故障すると使えなくなる。
・井戸にふたがしてあっても,時には異物(ごみ,なめくじ)が入ることがある。

上の写真は,境の近江屋さんで使われている井戸(2008.1撮影)です。「悠紀の里2訂版」では,手押しポンプのついた井戸としてで紹介しています。今年10月発行の「悠紀の里3訂版」では電動ポンプのついた井戸として紹介します。