15.天王さん 15.天王さん
17.秋葉さん 17.秋葉さん
16 駒ケ嶽さん 石仏めぐりまっぷ
 上のお宮の裏山を100メートルほど登ると50坪ほどの平地がある。そこに「駒ヶ嶽さん」が祀られている。
 高さ3メートル、幅180センチ、奥行60センチの妻入りの小さなお堂の中に祀られている。本造瓦葺で以前からの建物が朽ちてきたので、昭和の終りごろ、以前と同じ大きさ、同じ形で再建された。
 「駒ヶ嶽さん」は鳥川では養蚕の神様として祀っており、養蚕をしなくなった現在でもお祭りは続けられている。五月三日、村中で集まり僧の読経があげられていたが、慈徳院のお和尚さんが亡くなられて以後は、集まった人の中の代表者が、般若心経をあげてお参りする。残念ながら参拝する人も年々少なくなっている。
 なぜ駒、すなわち馬と蚕なのか……。その意味は確かなことはわからないが、次のような話もあるので参考にあげてみたい。民族学者柳田国男の『遠野物語』の中の六十九話の「オシラサマの伝説」である。
 「昔ある処に貧しき百姓あり。妻はなくて美しき娘あり。又一匹の馬を養う。娘此馬を愛して終には馬と夫婦に成れり。或夜父は此事を知りて其次の日に娘には知らせず、馬を連れ出して桑の木につり下げて殺したり。その夜娘は馬の居らぬより父に尋ねて此事を知り驚き悲しみて桑の木の下に行き死したる馬の首にすがりて泣きいたりしを、父はこれを悪みて斧を以て後より馬の首を切り落せしに、忽娘は其首に乗りたるまま天に昇り去れり、オシラサマと云うは此時より成りたる神なり」
 このようなところから馬と桑、蚕との関連になったのかも知れない。信州の駒ヶ嶽と養蚕の関係かも知れない。今はだれも真相を語り継いでくれる人はいなくなってしまった。訪れる人もいない山の中で、建物と年中行事だけは残っている。